御掛軸の修理・修復なら若林佛具製作所
後世に伝えたい貴重な書画を京表具の伝統と技術で修理・修復
京表具の伝統を守る若林佛具製作所
古来、寺院は布教だけではなく、文化の発信や教育の拠点としての側面も担ってきました。そのため、多くの寺院は伝来の掛軸や経巻を今でも大切に護持しています。しかし、季節によって大きく変化する日本の環境は、掛軸の展示や保管にとって最適な環境とは言い難いのが現実です。また、御掛軸は紙や絹をデンプン糊などで接着して装丁されていますが、こうした素材は扱いやすい反面、温度変化や湿気などのダメージに弱く、時間の経過とともに自然に劣化してしまいます。
このような繊細な素材で構成された書画が現代まで受け継がれてきたのは、適切なタイミングで適切な修理が施されてきたからに他なりません。書画の多くは本紙の裏打紙の取り替えなどの修理をおよそ50年から100年に一度の割合ですることが良いとされています。
若林佛具製作所では、京表具の伝統を受け継ぐ優れた職人たちが修理・修復を担当しています。長年にわたって蓄積された京表具のノウハウと、熟練の職人の磨き込まれた技で、お客様のご要望に応じた修理・修復を承ります。また全国五箇所の営業拠点からお客様を直接サポート。日本全国、海外、全てのご宗派の御掛軸のお引き取りからご配送まで安心してお任せいただけます。ご相談やお見積もりも無料で承ります。
営業拠点のご案内
札幌:〒064-0919 札幌市中央区南19条西9丁目2-35
仙台:〒981-0904 仙台市青葉区旭ヶ丘3丁目4-1-102
東京:〒104-0045 東京都中央区築地3丁目15-1 築地本願寺内
京都:〒600-8218 京都市下京区七条通新町東入
福岡:〒838-0143 福岡県小郡市小坂井432-1-102
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納品までの流れ
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- お問い合わせ
- ご訪問・状態の確認
- お見積もり
- ご契約
- 修理・修復作業
- 完成
- お引き渡し
- アフターサービス
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作業前にお客様からお預かりする御掛軸の状態を丁寧にチェック。お困りの箇所や、ご希望をしっかりとヒアリングいたします。ご予算などに合わせて最適なお見積もりをご提案させていただきます。
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御掛軸ご修復作業の途中で、作業状況を担当営業がご報告。ご希望の場合は、職人の作業場へご案内も可能です。
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御掛軸ご修復作業終了後、お預かりしたお品物を丁寧に梱包してお届けいたします。
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御掛軸修理・修復のビフォー・アフター
親鸞聖人御影御掛軸
経年劣化が進み絵具の剥がれや汚れ見られた本紙には、全体の雰囲気に合わせて彩色の補彩を行っています。また、肌裏紙や増裏紙を丁寧に交換・補修することで、虫食いや折れなどを補修し、掛軸全体のしなやかさを復活させました。
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御掛軸のカビ取り
白い本紙全体にカビが発生していたため、デリケートな彩色部分に影響がないように、その周囲にのみ染み抜きを行っています(彩色部分は洗浄のみ)。最後に以前の柄に合わせた表具に新調して仕上げています。
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after
七高僧御掛軸
絵具が剥がれ、汚れやカビが目立っていた本紙は、カビ取りと並行して絵具の剥離止を実施、彩色が欠損していた箇所には補色を施ています。損傷が生じていた箇所には、本紙裏面から補修と同時に強度を出すために補強を行っています。
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after
親鸞聖人御絵伝
劣化が進み剥離していた絵具は剥離止と亀裂の定着を施し、欠損部分のみ補彩しています。本紙の汚れやカビを綺麗にしています。損傷のあった箇所には裏面から補修と補強を行いました。古くなった表具は新しい本金襴を使用した裂に交換しています。
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聖徳太子御掛軸
肌裏紙から剥離した本紙を定着させた後に、汚れやカビを落とし、亀裂が入っていた彩色部分には絵具が剥離しないように剥離止と亀裂の定着を行っています。さらに彩色が欠損していた部分のみ補彩を施しています。本紙表面の汚れが落ちたことで、聖徳太子の着衣に施されていた金色の彩色が現れてきました。
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before
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参考価格一覧
御掛軸一貫代完全修復
価格は参考価格です。修理には本紙の補強と、表装裂の新調が含まれています。本紙の補彩は含まれておりません。また、御掛軸の大きさや損傷の程度、本紙の修復の程度や補彩の有無、表装裂の種類などによってお見積もり価格は変わります。ご了承ください。
¥200,000 ~
こんなことはありませんか?
少しでも心当たりがあればぜひご連絡ください。
御仏具は一度設置したら、そのまま動かさないことがほとんどです。そのため、経年劣化や傷みが進行していても気が付かない場合がとても多く、いざ動かそうとしたら壊れていたということが少なくありません。もし、以下のようなことに心当たりがあれば、ぜひ弊社にご相談ください。
- シミや汚れが見える
- カビのような汚れやシミが見える
- にじんだような汚れやシミが見える
- 黒い汚れがついている
- 動物や昆虫の糞尿が付着した
- 折り目ができた
- 絵具が剥がれた
- 穴が空いている
- 紙が浮いてきた
- 紙が剥がれた
- 紙がボロボロになってしまった
- 軸先が外れた
- 損傷が怖くて掛軸を広げられない
- 掛軸の状態が悪い
- 裂(きれ)が浮いてきた
- 掛軸が破れた
- 水に濡れてしまった
- 掛軸の紐が切れて落ちてしまった
- 掛軸が分解してしまった
- 保管用の桐箱を新調したい
- 掛軸が固くて巻くことができない
御仏具修理・修復のよくある疑問
どんな状態の掛軸でも修理できますか?
破れ、剥がれ、シミ、折れ、虫食い、裂地の劣化など、様々な痛みや状態に対応可能です。まずはお気軽にお問合せください。状態を確認し、最適な修理方法をご提案します。
修理が必要なタイミングはありますか?
「破れ」や「シミ」、「折り目が出てきた」「巻きづらい」、「紙や裂(きれ)が浮く」、「絵具が剥がれた、落ちる」、「軸先が外れる」などの症状が見られたら早めのご相談をおすすめします。御掛軸はとても繊細です。損傷を放置すると傷みは必ず進行してしまうため、早めに対策をされることをお勧めしております。
見積りは無料ですか?
御掛軸の状態や修理内容によりますが、一般的には2か月〜半年程度(要確認)です。傷みが酷く修理に時間がかかる場合には、少々お待ちいただく場合がございます。ご了承ください。
シミや汚れはきれいになりますか?
水洗いやシミ抜きによって改善できる場合があります。ただし、経年変化による変色などは完全に除去できないこともあります。漂白など化学的な処理を行うことで綺麗にすることも可能ですが、そうした処理は本紙の繊維を傷めてしまう可能性が高く、今後の耐久性に大きな影響が出る恐れがあります。
破れた掛軸も修復できますか?
はい。和紙による補修や裏打ちのやり直しなどを行い、鑑賞や保存に適した状態へ修復できます。
修理費用はどのように決まりますか?
掛軸のサイズ、傷みの程度、使用する裂地や修理内容、お客様のご希望によって異なります。ご依頼のお品物を確認後にお見積りいたします。
修理すると掛軸の雰囲気は変わりますか?
弊社では御掛軸の持つ本来の雰囲気や風合いを大切にした修復を行っています。可能な限りオリジナルの持つ雰囲気や風合い、価値をそのまま維持・保存する修理を行います。お客様のご希望に応じて表装の仕立て直しも可能です。
遠方からでも依頼できますか?
はい。お客様のお手元から宅配便でお送りいただくことも可能です。また、弊社は全国五箇所の営業拠点からお客様のご自宅へ、直接御掛軸をお預かりに伺うこともできます。ご依頼の際にお申し付けください。
修理後の保管方法を教えてください。
湿気や直射日光を避け、風通しの良い場所に桐箱や紙箱に入れて保管してください。また、掛軸を巻いたまま保管されると、糊が硬くなり広げられなくなることもあります。広げることがない掛軸も定期的に虫干しすることをお勧めしています。
修復することで消えてしまった文字や絵を元に戻すことはできますか?
お客様のご希望で欠損部分に加筆することは可能ですが、修理の結果、お客様の考えていた修復結果と異なる場合や、御掛軸の持つ歴史的・文化的な価値が損なわれる恐れがあります。なにとぞご了承ください。
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御掛軸とは
掛軸(かけじく)とは、仏画や書・絵画を、寺院の本堂や床の間に吊るして礼拝・鑑賞できるように、布や紙で裏打ちして仕立てた美術品・工芸品のことです。鑑賞しない時には巻いて保管することが可能なため、保管や持ち運びに便利という実用的な特徴もありますが、特に日本においては掛軸の文化は多面的であり、以下のような特徴があると云われています。
礼拝のための仏画として:
掛軸は当初、仏教を布教するための仏画として渡来したと云われています。今でも多くの寺院で御本尊や名号などが掛軸として礼拝されています。
おもてなしの表現として:
掛軸は、床の間に飾り来客・季節・時刻に合わせて取り替ることで、亭主の心遣いを表現するものとして日本で大きく進化・発展しました。
空間の演出として:
明治から大正時代にかけて、経済的に豊かになった庶民が住居の中に床の間を設けるようになり、庶民が日常的に芸術に触れるきっかけとなりました。
美術品として:
掛軸の表装は仏画を荘厳し保護するためのものでしたが、本紙を引き立て格式を示す役割を次第に担うようになったことで、本紙と表装が一体となった「作品の内容を視覚的に翻訳する」日本独自の美術品として独自の発展をとげました。
千利休が「心得道の物」の筆頭として掛軸を挙げているように、掛軸は客人を迎える亭主の教養と感性を映し出すとされています。現代では掛軸は寺院や美術館で見かけることが多くなりましたが、かつては多くの日本家屋の床の間に飾られ、季節の移ろいや来客へのもてなしのための表現として、日常の生活文化の中に根付いていました。
御掛軸の歴史
掛軸の起源は古代中国と云われています。紀元前2世紀の墳墓である馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)から、絹でできた縦長の帛画(はくが)と呼ばれる垂れ幕(旌幡=せいはん)が出土しており、前漢時代にはすでに掛軸の原型が存在していたことが確認されています。
その後、中国・晋王朝の時代には、仏教を布教するために仏画が使われるようになりました。その際、破損しやすい仏画を保護するために巻物に仕立てる工夫が生まれたと考えられています。現代のような掛軸の技術や様式が確立したのは唐の時代だと云われています。
日本への伝来
掛軸が日本へ伝来したのは飛鳥時代、礼拝用の仏画として渡来してきたものと考えられています。当時の掛軸は主に礼拝の用のためのもので、限られた貴族や僧侶のみが所持できる非常に貴重なものでした。
平安時代になると、遣唐使として中国に渡った空海(弘法大師)が曼荼羅を持ち帰ったことにより、日本でも曼荼羅の製作がはじまりました。この頃から日本でも仏画の制作と掛軸の表装技術が飛躍的に発展したと考えられています。奈良国立博物館が所蔵する国宝「十一面観音像」はこの時代の掛軸文化を伝える代表例のひとつとされています。
禅宗と水墨画
鎌倉時代に伝来した禅宗と詩画軸をはじめとする水墨画は、それまでの「礼拝のための掛軸」を「鑑賞用の美術品」として武士や庶民の間に大きく普及するきっかけとなりました。最初は、達磨図のような禅の思想を表現するためのものでしたが、次第に禅僧が描いた水墨画が美術品として普及するようになると、掛軸に美術品としての表装を施すようになりました。
床の間と茶の湯
室町時代に入ると日本の建築様式は大きく発展しました。武士や茶人などの文化人が交流する場としての機能が建物に求められるようになったことから、書院造りや数寄屋造りなどが誕生します。これらの建築の共通点は客人をもてなすための空間である「床の間」の存在です。
床の間は客人をもてなす空間に設えられ、そこには侘茶を大成した茶人である千利休が「掛軸ほど第一の道具はなし」と語ったように、必ず掛軸が飾られました。掛軸はもてなす客の立場や季節・時間に合わせて主人によって選ばれ、互いの心を通わせるための要素として重要視されるようになりました。
また、大和表装の格式(真・行・草)が確立したのもこの時代の文化人である、相阿弥(そうあみ)によるものだと云われています。特に、時の権力者達が茶の湯を重視した影響は大きく、礼拝だけでなく美術や思想を表現するものとして、絵画の技法とともに表装技術が大いに進歩しました。
文化の成熟と民衆への普及
江戸時代に平和が長く続いたことで、豊かになった庶民の間で絵画を楽しむ文化が広がります。当時、中国・明から伝わった明朝表装は、知識人や文化人が描く文人画に用いられたことから、「文人表装」と呼ばれるなど、それまでの大和表装とは異なる表装文化として広がりました。
明治から大正時代に入ると庶民の住宅にも床の間が設けられ、一般家庭でも日常的に掛軸が飾られるようになり、掛軸は庶民の間で広く普及しました。しかし、昭和になると住宅デザインの欧米化が進んだことで床の間は減少し、それとともに掛軸を飾る文化は庶民の日常の中ではほとんど見ることはなくなってしまいました。
御掛軸の素材
掛軸は書画の描かれた本紙を保護し荘厳性を高めるために、絹や紙、糊といった自然由来の複数の素材を複合的に組み合わせることによって作られています。そうした素材のほとんどは加工しやすい反面、水や湿気に弱いため、掛軸は適切な時期に適切な修理を施さなければ、自然に劣化が進み保存・保管することが難しくなることが知られています。鑑賞の頻度や保管場所の環境、もともとの掛軸の状態にもよりますが、およそ50〜100年に一度くらいの頻度で裏打紙などを取り替える修理を行う必要があると云われています。このような修理を繰り返すことで、大切な御掛軸を数百年に渡って受け継ぐことが可能です。
1.本紙
「本紙(ほんし)」は掛軸の中心で、書画や仏画が描かれている部分に使用されます。仏画や山水画は絹に描かれることが多く、墨跡や書では楮紙や雁皮紙、三椏紙などの和紙が用いられてきました。
楮紙(こうぞし):
くわ科の落葉低木「楮(こうぞ)」を原料として漉かれた和紙です。繊維が太く長いため丈夫で破れにくく、水に濡れても強度が落ちにくいため、水墨画や日本画などで多く使用されています。
雁皮紙(がんぴし):
ジンチョウゲ科の落葉低木「雁皮(がんぴ)」を原料として漉かれた和紙です。繊維が細かく緻密なため、漉いた紙は平滑で絹のような手触りと、淡い黄金色の光沢を持つことから「紙の王様」と呼ばれています。耐久性にも優れ、虫が付きにくく文化財の修復などにも使用されています。栽培が難しく、流通量が少ないことでも知られています。
三椏紙(みつまたし):
ジンチョウゲ科の落葉低木「三椏(みつまた)」を原料として漉かれた和紙です。繊維が非常に強く、折り曲げや水に対して耐久性に優れているのが特徴です。きめが細かく、上品な光沢があることから、書画以外にも紙幣の材料として使用されていることがよく知られています。近年では日本での生産量が少なくなり、大半がネパールなどの海外からの輸入で賄われています。
絹(きぬ):
書画に用いる絹は「絹本(けんぽん)」と呼ばれ、上品な光沢と絵具の美しい発色・定着性に優れ、緻密で美しい表現ができることから、伝統的に仏画や花鳥画、山水画などに用いられてきました。
2.裂地
「裂地(きれじ)」は本紙の周囲を飾り「本紙を引き立てる」ための織物などの布地で、掛軸の用途や格を表現する重要な要素です。
金襴:
「金襴(きんらん)」は、紙に漆で金箔を貼り細く裂いた「箔糸」を織り込んだ、華やかな文様が特徴の豪華な絹織物です。主に仏画などを荘厳するために用いられます。
緞子:
「緞子(どんす)」は、先染めした糸を使い、朱子織(しゅすおり)をベースに模様を織り出した絹織物です。立体的な模様と光沢、厚みのあるどっしりとした質感が特徴です。金襴よりも控えめですが、上品で落ち着きがあり書や水墨画、禅語などの茶掛などに用いられます。
無地裂:
「無地裂(むじぎれ)」は、地紋のない単色の絹布(けんぷ)です。主に禅宗の掛軸や墨跡、茶掛に使用されます。
3.裏打紙
「裏打紙(うらうちがみ)」は、本紙の裏側に当てて糊で貼り合わせるのに使用する和紙のことです。薄くて脆い本紙を補強することで、張りと厚みを出し、破れやシワ、たるみを防ぐほか、掛軸を巻いたり掛けたりする際に必要な強度と耐久性を掛軸に与えるのに欠かせない要素の一つです。裏打紙には以下のような種類があります。
肌裏紙(はだうらがみ):
「肌裏紙」は、デリケートな本紙の裏に直接貼ることでシワや折れ、歪みを防ぎ、本紙を補強します。素材には繊維が長く薄くて丈夫な薄美濃紙(うすみのし)などの楮紙(こうぞし)が用いられます。
増裏紙(ましうらがみ):
「増裏紙」は、柔らかく柔軟性に富んだ「美栖紙(みすがみ)」を使うことで、掛軸にしなやかさを与えるとともに、裂地との厚みや伸縮のバランスを調整する重要な役割を持っています。
中裏紙(なかうらがみ):
「中裏紙」は、本紙と周囲の裂地を繋ぎ合わせて掛軸の形にしたものの裏側からあてがう紙のことで、本紙と裂地の厚みの差をならし、掛軸を巻いた時に全体に無理な負担がかからないように、しなやかさを持たせるために用いられます。素材には柔らかく繊維が長い「美栖紙(みすがみ)」を使用します。
総裏紙(そううらがみ):
「総裏紙」は、本紙や周囲の裂地を何層にも重ねて作られた掛軸を、裏から押さえることで掛軸全体を安定させるほか、温度変化による収縮や巻きシワを防ぐ役割をもっています。掛軸を巻いた時に一番外側に出る部分で、「総裏(そううら)」とも呼ばれています。素材には楮に白土(しらす=石灰)が混ぜ込まれた「宇田紙(うだがみ)」と呼ばれる奈良県吉野地方産の伝統的な手漉き和紙が用いられます。白土に含まれた石灰による防虫効果、透け止め、日焼け止め(抗酸化作用)等の他、掛軸の表装として求められる耐久性としなやかさ、美しさを備えています。
4.糊
掛軸の仕立てにはデンプンを主原料とした伝統的な糊が用いられています。特に修理の際にデリケートな掛軸を傷めることなく解体するには水で剥がせることが重要で、今でも掛軸修理の現場では以下のような種類の糊が使用されています。
新糊(しんのり):
小麦粉のデンプンに水を加えて煮ることによって作られる糊です。接着力が強く硬いのが特徴です。
古糊(ふるのり):
寒い時期に炊いた新糊を甕の中で長期間(10年ほど)寝かせたもので、接着力が弱いことが特徴です。鑑賞のために巻いたり解いたりする掛軸にはしなやかさが必要なことから、接着力が弱い古糊が掛軸には特に適しています。このデンプン糊は、およそ50年から100年で接着力が弱まると云われており、この間に掛軸の修理を行うのがよいとされています。
布海苔(ふのり):
布海苔は紅藻類と呼ばれる海藻を原料とした糊です。日本では古くから漆喰に混ぜたり、織物の糊付けなどにも使用されてきました。塩抜きして煮溶かした布海苔は、和紙や絹地の汚れ落としや、ひび割れの補修、絵具の定着などに使用されます。
5.軸木
「軸木 (じくぎ )」は、掛軸を綺麗に巻き取るための芯や、掛けた際に掛軸がたるまないようにする重しの役割を持つ丸い芯木のことです。素材には主に杉や檜などが用いられます。
6.軸先
「軸先 (じくさき )」は、軸木の左右に取り付ける装飾です。掛軸の顔とも云われ、掛軸の格調や雰囲気に影響する重要な要素の一つです。また、掛軸を巻いたり広げたりする際に、軸先を持つことで直接裂地や紙に触れずに済むことから、本体の破損や手垢による汚れを防ぎます。素材には黒檀や紫檀等の銘木の他、瀬戸物、竹、古いものでは象牙などが用いられます。
7.風帯
「風帯 (ふうたい )」は、現在では掛軸の装飾として取り付けられていますが、もともとは屋外に掛けた掛軸が、燕などの小鳥に汚されることを防ぐために取り付けられていました。日本では実用的な意味よりも、掛軸の格を表す装飾として取り付けられています。素材には絹や金襴、緞子などが用いられ、掛軸上部の「八双(はっそう)」に垂れ下がるように2本取り付けられます。他に、裂地や和紙を貼り付けて風帯の様に見せる方法も知られています。
御掛軸の構造



















































